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最近は、アクセスログ解析にも良書が多く著されるようになって、一昔ほど前の手探り感はなくなってきました。本当に良い時代になったものです。
しかし、そういった書籍で取り扱っている、セグメンテーションや、クロスタブの手法、また数値の傾向判断と、問題が分かった場合の打ち手のような情報だけでは、アナリストとしてコンサルティングに携われないと思っています。
そう思うようになったキッカケは、あるレポートとの出会いでした。
初めてコンサルティング提案をする場合に、過去にアクセスログ解析の経験があるかお客様に必ず質問をしています。
今や、まったくアクセスログ解析をした経験のないお客様というのはいらっしゃらないもので、大なり小なりの経験をされています。
経験があるお客様には差し支えない範囲でレポートを見せていただくのですが、そのレポートの中で、これは酷い!と思う外部アナリストによるレポートがありました。
たとえば、成果が2倍にアップ!などと書かれているので、見てみるとお申し込みが1訪問から2訪問へ増えているだけなんです。
確かに数値だけ見ると2倍です。しかし、たった1訪問なので偶然の影響力が強く、分別があるアナリストであれば「評価困難」、多少色を付けても「良い傾向とも思えるが継続監視」といった文脈のレポートになるでしょう。
他にも色々とツッコミ所満載でしたが、もう1つ例を挙げると。
リニューアル後は訪問数が増えたので良いと書かれていて、確かに5%ほど訪問数が増えていました。
しかし、これも集計期間中の平日数が、リニューアル後は多かったのが原因と思われました。このサイトでは土日に訪問数が半減するのですが、レポートでは週ごとのサイクルを考慮せずに結論づけられていたのでした。
平日・休日の重み付けをつけて計算すると、リニューアル前後は、ほとんど変化なしでした。
というように、数字しか見ていないと、まったく用をなさないどころか、害悪にしかならないレポートができあがってしまいます。
(恥ずかしながら告白すると、わたしもアナリストになりたての頃はこの手の間違いをやってしまった経験があります・・・)
そういった間違いをしないためにも、ぜひオススメしたいのが谷岡一郎さんの『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ』です。
(ちなみに当ブログは、いかなるアフィリエイトや、アド・ネットワークにも参加していませんし、その予定もありません)
実名を挙げ真っ向批判をしている本なので、非常に具体的で例も多く、解説も分かりやすいです。
値段も安いので、少しでも興味があれば、ぜひぜひ読んでみてください。
アクセスログ解析の書籍ではないけれど、間違った判断や、恣意的な結論をしないようなリテラシーの獲得に向けて、たいへんオススメの一冊です。
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