- 2005-01-01 (土) 14:32
- ゲーム
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ここ数年、例えばプレイステーションが発売されてからゲームを始めた人って結構いると思うんだけど、そういう人っていわゆるゲームの歴史的瞬間に立ち会えてこなかった人たちだと思うんだ。
名著「超クソゲー」が上梓されてからというもの、ボクらコンピュータゲームの黎明期からゲームに親しんできたゲーマーは、その同世代的シンパシーを確認し合ったって事なんだけど、ここ数年のうちにゲームを初体験したって人には、ほとんど昔絵巻のごとくで、なんか疎外感ってあったんじゃないかと。
そしてここ数年で、ゲーム史において「これは!!」と思える歴史的瞬間って実はほとんどなくて、例えばそれは「ポケモン」と「ビートマニア」くらいしかなかったんじゃないかって思うわけ。そのほかは過去のゲームの焼き直し・改良ってことになると思う。
誤解しないで欲しいけど、焼き直しや改良だって充分立派なアクションだし、実際にここ数年のゲームの完成度は飛躍的に向上したと思うけど、それと歴史的瞬間というのは違うよね、って事をここではっきりさせておこう。
ポケモンは頻繁にポケモンのやりとりが出来ないと堪能できないし、ビートマニアはゲーセンに行かないとかリズム感ないからってんで、ちょっと敬遠して1塁を埋めてピッチャーと勝負したりとか、そういう事になりがちな向きもあったんじゃないかな?
そういうアナタに、朗報だよ!今なら3万円で歴史的瞬間に立ち会えるんですよ。しかもこれはもうゲームの枠を越えちゃってるかもしれない、そんな瞬間に立ち会えます!!
ここまで読んでせっかくだから俺は歴史的瞬間に立ち会うぜ!と気合いの入った人は3万円で、Dreamcast本体、シーマン・ビジュアルメモリ同梱セット(なければシーマン通常版とビジュアルメモリを別々で)を購入すべし。そしてとりあえずプレイしてみて欲しい。そして、その凄さに圧倒されて欲しい。
さて、いろいろなゲームを見てきた人だったらシーマンというゲームに対して「ピカチュウげんきでちゅう」と「AQUAZONE」のパクリなんちゃうんけ、オルァ~!?なんて思うかもしれないけど、実はボクのいう「歴史的瞬間」ってゆうのはそこに非ず。なのじゃよー。
ともあれ、以下のレビューを読んで欲しい。
シーマンはまずシーマンの卵を水槽に移すところから始めます。
しかし、パッド操作がどうにも難解。マニュアルを読まずにゲームを始める主義のボクは当然マニュアルを読みませんでしたが、このファーストステップで1時間以上も時間を無駄にし、結局マニュアルに頼ってしまいました。これがNoel3だったら、またヒロインが全員爆死しているところだよ・・・。
ちなみに、この水槽に卵を移すって一連の動作を格ゲー風に解説すると、「L(卵の上にカーソル移動)X+RLX+R」って感じなんだけど・・・後生ですから、もうちょっと簡単になりませんですか?画面にキーの説明も表示されないし、どうゆう了見だよ、まったくさぁ。
とりあえず卵を水槽に移し、水槽の環境(水温・空気濃度)を適度に保っていると、卵は分裂して球に尻尾の生えた稚魚となります。おーすごいー!などと喜ぶのも束の間、なにやら水底でうごめく物があるのに気づきます。よくみるとオウムガイですが、この時ボクは水槽が華やかになって良し!としか思っていませんでした。
そうこうしているうちに、稚魚は少しずつ活発に動き回るようになり、オウムガイの動きも活発に、そしてオウムガイが稚魚の背後に回り込み・・・ぱくっ。
あーッ、こいつシーマン食いやがったーーーッッッ!!!
悲痛な叫びをよそに、オウムガイは次々に犯行を重ねます。
我に戻ったボクは、水槽の縁をコツ、コツと叩いて稚魚を誘導し、追いすがるオウムガイから逃がそうとしますが、それでも一匹、また一匹と餌食にされてゆきます。
そして。最後の一匹までも食べられてしまいます。
いや、最後の2、3匹は自暴自棄になって無理矢理食べさせたような気がしないでもありませんが、とにかく全滅です。
このまますぐにゲームオーバーかと思いましたが、何故かゲーム続行です。何でかな?と思いましたが、墨を吐きながら元気に泳ぎ回っているオウムガイを見て気づきました。これは勝ち誇ったオウムガイを見せつけるための演出では?と。
痛いです。かつてこれほどにプレイヤーのミスをねちねちといびられるゲームがあったでしょうか?もうこの時点でかなり暗澹たる雰囲気が漂います。
そうして打ちひしがれている事5分ほどでしょうか、オウムガイの様子が変です。
それまで吐いていたのは黒々とした墨でしたが、色がだんだん赤くなっているようです。それがどうも鮮血らしいと気づく頃には、オウムガイは痙攣を繰り返すようになり、ついには殻から抜け出しびくびくと真っ赤な鮮血を吐きながら痙攣しています。
この時の恐ろしさは文言を絶するものがありした。
実際、この後起こるであろう惨事は用意に想像がつくのに、理性が、感情がその想像を拒否するのです。完全なる思考停滞です。
そして、数駿の後、ついに恐れていた事態が訪れます。
ひときわ盛大に鮮血を吐いた途端、中からシーマンの稚魚、いや顔と触角の生えた幼生がうじゃうじゃと飛び出てきます。
この瞬間叫ぶことすらままならず、のけぞったボクを誰に責められましょうか?
この時のシーマンの幼生のそこはかとなく嬉しそうな顔、ボクはしばらく忘れられそうにありません・・・。
あれほど憎んだオウムガイも今では水底に横たわる赤黒いしなびた物体になり果ててしまい、残されたのはシーマンの幼生達です。本来なら、生きていて良かった、大きくなったなと、安堵の声、ねぎらいの声をかけるのが理性も悟性もある人間の姿だとは分かっています。分かっているのですが、素直にそうできないのです。
その感情を正直に告白すると、こいつらに関わっていたら良くないことが起こる。というものでした。本能的な恐怖を感じていたのだと、そう思います。
しかし、抽選に外れたとはいえ、ボクだってDreamcastシーマンモデルに手を出そうとした漢です。このまま恐怖心に負けたとあっては各方面に示しが付きません。根性で、気合いで、ガッツです!
気を取り直したボクは、とりあえずマイクを使って呼びかけてみます。「おーい」「もしもし」などなど。呼びかけているうちにだんだん難しい単語も理解するようになっていきます。今のところ「おはよう」「元気?」とかまで理解するようになり、「うんこ」と連呼するのはやめて下さい。とこちらが思うまでになりました。
なんか面白くなってきたボクは餌を大判振る舞いしながら、餌付けをする楽しさにしばし酔いしれました。
しかし、またすぐに新たなる惨事が差し迫っていようとはこの時には気づく由もありませんでした。
餌付けをしていたある時、妙な音がするのに気づきました。
ここでシーマンの体型的な特徴を説明しておきますと、体長約5センチ、金魚のような体に人間の顔がついていて、額からはチョウチンアンコウのような触角みたいなのが生えています。
その妙な音を捜すとシーマンが2匹上下に重なるようにしています。そして下側のシーマンの触角が上のシーマンにくっついています。もう早くも交尾か?と思いましたが、どうも様子が変です。
なんか音がドクドク言っていますし、触角も波打っています。そして何より、下側のシーマンの幸せそうな顔、そして上側のシーマンの苦しみ悶える顔!!
そうです、考えたくありませんが、これは共食いです!体液を吸っているーーーッッ!!
そうしてさんざん体液を啜ると吸われた側のシーマンは無念そうな表情を浮かべ、水面に浮いてゆきます。おいおい、そこまで作り込むか?と思った矢先、次の惨劇が起こりました。そう、またしても共食いです。
そうして、最初8匹いた稚魚は、4度の惨劇を経て、4匹にまで減ってしまいました。つまり、現在生存しているこいつらは全員前科者です。
こんな彼らですが、これからペットとして愛で育てなくてはならないのでしょうか?
そう思っている眼前で、先ほどまで水面に浮いていた遺体が沈んでゆくのを見て、こんなに凝った作り込みが嬉しくなかった事はないよ・・・と絶望しました。
それにそもそも、プレステでゆう所の「このゲームには暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。」って書かなくても良いのか?とか、生命の尊厳とは何なのでしょうか?などとだんだん形而上めいてくる問答を繰り返し、疲労困憊を極めたボクはいったんゲームを中断しましたよ・・・。
そうしていろいろ思慮に暮れておりますと、気づいてはならない事に気づいてしまいました。
実は先ほど調子に乗って餌付けしまくったために、最初11個あった餌が、たったの2つになってしまっていたのです。しかもこの餌は入手方法を解明しなくてはいけなくて、その入手方法は未だに謎なのです。
次に飼育を再開すれば、餌は必要になってくるでしょう。しかし餌が底をついてしまったら・・・。
その時彼らは水底に横たわる4体の同胞だったものに口を付けるのは想像に難くありません。そして、それもなくなってしまったら・・・・・・ああっ!これ以上は怖くて語れません、語りたくありません!語ったが最後、このサイトすら呪われそうで・・・。
かつて医学倫理に警鐘を鳴らした「LIFE&DEATH」はその手術成功率の絶望的な低さに物議を醸しましたが、このシーマンは医学どころか生命倫理に真っ向から切り込むというゲーム史上なかったアプローチをしてきています。「ピカチュウげんきでちゅう」「AQUAZONE」のちょっと悪趣味発展系だと思っていた、過去のボクが甘ちゃんの青二才の若造だったのです。
以上でお話ししたことが、最新の、ゲーム史上に残る観測点の正体です。
ところでこれからボクはシーマンをプレイ続行すべきでしょうか?
これからどんな惨劇が起ころうとも茨の道をひた歩まねばならないのでしょうか?
そうしたら、罪深き者は、罪深き故に赦されるのでしょうか?
ねぇ神様、助けて・・・助けて下さい、神様・・・
助けてーーッッ!
コ・ロ・サ・レ・ルーーッッッ!!!(ダウンタウン・松本人志風に)
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