- 2005-01-01 (土) 15:22
- ゲーム
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この原稿は1999年4月20日にほぼ完成したものの、諸所の事情で掲載に至らなかったレビューに加筆修正を行って掲載したものです。
今日はキャプテン・ラヴのレビューをお届けしマス。
さて、のっけから説明しよう!キャプテン・ラヴとは何か?
それは世紀末の世に己がラヴを貫き通した男のストーリーである!
なんちていきなりかっこいいツカミで始まった本レビューですが、さっそく物語から紹介します。
過去、女性に対してトラウマを負った主人公は愛の共産化を謳う「ラブラブ党」(こらそこ笑わない)に入党するも、ある日ヒロインと知り合い恋に落ちてしまった。愛の共産化と恋との間で揺れる主人公。そして奇しくもヒロインはラブラブ党々首の娘だったのです・・・。
とゆうのが、導入部。ラブラブ党とゆう珍妙な言葉を除けば、面白そうな予感がするではないですか。映研とかバンド活動とかありがちな大学生活と、コスチュームヒーローとのギャップあふれるスラップスティックストーリーって事でGo!
ゲームは基本的に選択式のコマンドで進めていくアドベンチャーゲーム。
選択肢によってヒロイン達との好感度が変化して結末が変わったりするおなじみのシステムって訳。
ゲームシステムでユニークなのが「論撃バトル」なんだ。
どれくらい変わっているかとゆーと、リターンキー連打ぁぁ!ウラウラウラウラァァ~~!!!って、パソコン版「維新の嵐」ネタ振っても古すぎて誰も分かんないね。ゴメン。世界初の激論ゲームは抑えておかねばーっ、とか些細なお遊びだったって事でねへへへ。
さて、論撃は単に反論をすれば良いわけではなく、効果的な反論をしなくてはいけないんだ。加えて反論となる選択肢が相手の論述に沿って時間と共に増えていくというシステムになっていて、それって-多少選択肢の正解不正解の違いはあるんだけど-こんな感じ。
・選択肢1表示(でもこれはだいたい不正解)
・敵主張1開始
・選択肢2表示(これも不正解)
・敵主張2開始
・選択肢3表示(ようやく正解選択肢が)
(以下選択肢4まで続く)
とゆう感じなので、あーもー、言いたいこと言っちゃって(我慢)・・・(我慢我慢)・・・!よーし来た来たリーチ一発ツモォ!!悪いねショウコちゃん。でも初巡ツモ天和緑一色で仕返しするのはやめてね・・・あ、いやいや気分的に待ち牌を待ってる気分だって事で、スーパーリアル麻雀P2だって事じゃないヨ。ホントホント。
古いたとえばかりで、さらにゴメン。
さらにこの論撃は不利な流れになれば出てくる選択肢も敵の主張も厳しいものになり、有利な流れに乗れれば敵の主張が支離滅裂で比較的楽な展開になったりと、会話の流れにまで昇華できているのがさすがだと思ったし。
そしてこの論撃、ユニークなシステムだってだけじゃないんだ。セリフがカッコいいのなんのって、熱き男の魂が最強にたぎりまくっているんだ。
ちょっとだけ紹介するとね・・・おっと、電話の用意は出来ましたか?・・・え?何の?・・・って119に決まっているじゃないでスカ。何せあんまりセリフが熱いものだから油断してるとテレビが燃えてしまうって話だし、今年の出火原因の第1位は寝たばこにトリプルスコアの大差をつけてキャプテンラヴがトップ当選って話だからね。
すーはーすーはー。
ラヴしラヴされることによってのみ、
得られるものだってあるぞ!!
何の期待もしないことこそ、
本当の絶望じゃないのか?
やっぱり欲しいんだろ?
自分だけに向けられる深いラヴが!
だったら死ぬ覚悟で相手にラヴを捧げるんだ!
フツーってなんだ?
そんなコピーみたいな概念で得られる
愛情で満足しているのか?
欲しくないのか、オリジナルの愛を!
自分だけの、自分だけが絶対の愛を!
傷つけるだけじゃない。
傷つけられる覚悟ももちろんあるさ。
そして切磋琢磨して、ラヴをたくましく
鍛え上げたいのさ。
オレの人生は! オレのラヴは!
まだ始まったばかりさ!!
勝手に末路にされちゃ困るね!!
ハァハァハァ・・・イカンイカン、ついつい愛を語ってしまいました。
これ以上の熱いセリフは、ゲーム買ってマイク片手に叫んでください、ね。
てゆうか、何でこのゲーム、マイク同梱じゃないのさ?叫べないよ、コレ!?ってさ、昇龍拳のないストリートファイター、味噌のないグラディウス、タルタルソースのまずそうなソンソンってもんよ?
キャプテン・ラヴ2はマイク同梱で頼むよ、東芝さん。握りはもちろんド真っ赤、ちゃんとLOVEの文字もかたどってね。世露死苦!
なんちて一通りほとばしってみたので先へ進みます。
そんな、恋に落ちてしまった主人公は、ついに愛の共産主義を捨て、己がラヴを貫き通す覚悟を決めます。
でも、でも。プレイヤーであるボクちんは覚悟がなかなか決まりませんでした。
なぜって?そりゃあやっぱしヒロインが可愛くないから!
どれくらい可愛くないかといいますと、少しでも受け答えを間違えようものなら、ふてくされてじと目でこちらを睨みながらイヤミの一言二言は覚悟だし、場合によっては家出その他のオプションも用意されているご様子。
しかもさらにたちが悪い事に、主人公扮する(主人公がキャプテンラヴなのはヒロインには内緒なのです)キャプテン・ラヴの事を口先だけと言って事あるごとに罵ってくれます。必死で論撃バトルに勝利しても待っているのは罵詈雑言です!酷いや!!
こんなテイタラクですからして、王立宇宙軍の肉入りリイクニさん、不思議の海のナディアさんといった性格凶悪GAINAXヒロインヅと充分タメを張れます。いや、ホンツ、まじでまじで。ジャン=ロックラルティーグさん、シロツグ=ラーダットさんの境遇がいやとゆうほど味わえてしまうってんですから、両作品が好きな人なら見逃せないよネ!!
・・・個人的には凄く見逃したい気分でいっぱいですけども・・・。
さらにさらに、各エピソード毎に登場する出会う女性が結構魅力的です。
この状態ではヒロインへの愛一筋に貫き通すのはまさに至難。気が付いたらサブ女性キャラを全員攻略しちゃっていて、仕方ないから最後にヒロインを攻略しようとして、やっぱやめっ!となってしまうような事も充分あり得ます。
かようにゲーム全体でラヴを貫き通す事の難しさをメタ的に表現している訳で、今までの恋愛シミュレーションがヌルく見える事は請け合いだよね!
さらに付け加えさせていただくと、ヒロインのCVはエンクミこと遠藤久美子さんでございます。
ハスキーでございます。演技とゆう文字もないのでございます。
そのミスマッチ感は母親よりも声が老けていると勇名名高い「パステル・ユーミ」の比ではありません。
活舌がどうこうとゆう次元ではなく、ヒロインの性格もそうならCVまでもがあまりに凄すぎるため、まぁいいか!と思える辺りが凄すぎます。このへんのトータルキャラクターデザインを狙ってやっていたら、ほんとうにボクちんはゲームデザイナー氏を尊敬させていただきます。
これでヒロイン一筋で頑張って下さいというこのゲームに貫かれた美学。あまりにも絶望的なその美学の前に、簡単に覚悟の決まってしまう益荒男はいますカ?
これだけでもかなり飛ばしすぎたゲームだと言えると思いますが、加えてタチの悪いことに、このゲームに登場するサブキャラは全員攻略が可能です。
・・・え、それの何が悪いんだよって?それは・・・男が混じっているから!
最初のうちは、実は女の子でしたー!とかどっきりカメラの看板掲げて、なんてオチを予想していたのですが、マジでモノホンの男でした。ちゃんと口説けるのですからして・・・。
これだけ正々堂々と同性愛を語れるゲームが、プレステでリリースできたなぁ、てゆうかソニーのチェック部隊もそこまではプレイしなかったんだな、と思うしかありません。もしもばれていたら、キャラクターごと削除されていた可能性は極大です。
ゲーム自体も良くできていて良作かと思いますが、別の意味で最強に強まった野心作だって事で、好事家はプレイするしかないっしょー?
おっとそうだ、キャラクターデザインについても語っておかねば。
キャラクターデザインは雑君保プです。知っている人は十年前から知っている、知らない人は10回生まれ変わっても知らないって感じでしょうか?
雑君保プは昔のGAMESTで大暴れした人です。GOLDEN AXE漫画とか穴埋め的にいろんなペ-ジに関わっていました。センスは極ブラックなので人によって好き嫌いの激しい作家さんとなっておりまして、中でも古葉美一とつるんで爆走していた時の「日本ポミネカシズム」とか「グラつうタイムス」などは後世に残る出来映えでした。特に「グラつうタイムス」が当時のゲーム同人誌界に与えた影響はすさまじく、みんなパクっていました。そういうボクちんもパクらせていただいたものです。
ところで、雑君保プがチャックンポップのもじりである事に気づかない、ってゆーかチャックンポップって何?ってゆー人も多いと思うので、さらに脱線してチャックンポップについても説明しておきます。
チャックンポップはTAITOが1984年にアーケード作品として発表した、珍妙キャラクターが爆弾を転がしてその爆風で敵をやっつけるとゆうゲームです。しかし操作性や挙動不審な爆弾の動きとで最強の難易度を誇っていました。とゆう事より、今やポケモンでイケイケのT尻さんがその昔TAIT●にアイデアを持ち込んだら社員にアイデアノートからパクられたとゆう嫌疑の方がよっぽど重要です、ハイ。
戻って。
顔の輪郭から目が出てしまう、あのデフォルメキャラがいい味を出しています。

こんな感じ。
ちなみにこれは作中に登場する映研の杉江
ちょっとキャラクター全般として地味っぽいですが、現実味をもたせるための配慮だと思うと気になりません。むしろ、雑君がいやに丁寧に仕事をしているのが印象的です。昔はもっと荒っぽいを通り越して爆発していた事も多かったのにね。
キャプテン・ラヴはその外見のスラップスティックさとは裏腹に、もちろんそういうシーンもいっぱいあるけど、シリアスな場面も多いです。後半面になると70%位がシリアスシーンだったりします。なのに、スラップスティックな部分とうまい具合に混在しています。これはシナリオライターの確かな力量によるものです。
だいたいあんな珍妙なコスプレ野郎が主人公なんてシチュエーションであれだけドキドキさせられるのですから、これは本物といえます。
ボクちんも恋愛シミュレーションとゆうジャンルはそれなりに見てきたものですが、普通はヒロインをどう攻略するかを考えるわけですが、キャプテン・ラヴでは正面からラヴについて考えさせられるのです。
シナリオはクオリティもさることながらボリュームも結構あります。
まず各話が2時間くらいのボリュームで、これが9話?あります。またヒロインだけではなく各話にそれぞれいるサブキャラとの話もありますからかなりの分量です。
さらには時々移動先が増えたときの各移動先での話もいろいろとあるし、条件をクリアすると4コマ漫画が楽しめたりと飽きることがありません。
それにしても凄いキャラクターが目白押しです。
年小は幼稚園児、年輩は中年までいますし、相撲部やら保母さんやらサラリーマンやら教授やら女子高生やら女子大生やら、結婚相談所員やら、歌手くずれやら、とにかく多彩です。それぞれのキャラクターもきちんと書き分けられていますし、もう一度言いますが、シナリオライター氏の実力は相当なものだと思うよ。ホンツ。
グラフィックは「もうちっとちゃんとアンチエイリアスかけてくだちい」とつっこんでしまう感じです。絵としての魅力はあるのですが、グラフィック作成技術としては拙いと言わざるを得ません。アンチエイリアスがかかっていないならまだしも、どうしてそんなアンチエイリアスになるのか教えて欲しいくらいのアンチエイリアスのききっぷりで驚愕で腰ガクガク寸前ですよ。
なんか長々となってしまったけれど、キャプテン・ラヴといっしょに燃えてみたり、恥ずかしがってみたり、ドキドキ焦ってみたりして欲しい。
紹介するのがあまりに遅れたので、ひょっとすると店頭にないかもしれないけど、中古でもなんでもいいから探し出すんだレッツゴウ!定価分だけなんて、つまんない事を言うつもりは全然なくて、定価の何倍も楽しめるから、その分だけ苦労する価値あるってもんよ?
セールス的には全然ふるわなかったキャプテン・ラヴだけど、ボクちんのラヴは凄いイキオイで震えちゃって、世界中のみんなにプレイして欲しいなと思ったボクちんでした。
2001年5月現在、キャプテンラブはSCE的に販売終息しておりまして店頭在庫分を探すしかありません。しかしその店頭デッドストックもまず絶望的で、Yahooオークションに出ればプレミアは確定と予想されるくらいです。
運良く見つけられたらなりふりかまわずゲットすべしなんだ、って事で。
注2:2001/5/29 補足
実は、実はMajorwaveブランドにて復刻されていることが、大・判・明!!
案内はこちら→ http://www.rits.co.jp/captain/
こんな大ニュースはもう二度とないったらない!(断言)
みんな急げ、注文だ、ゲットだ、パワーオンだ、レッツプレイ、レディゴーだッ!!
BBSにて報告してくださった「しの」さん、情報ありがとうございました。
Comments:1
- ****** 18-10-02 (火) 5:26
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