- 2005-01-01 (土) 15:37
- ゲーム
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どつぼちゃん。
この物語は運勢と努力で最悪の運命を克服した女性の物語である。
なーんて格好つけていると、名前からしてどうせクソゲーでしょとか鼻で笑われるのがオチのようですが、それはこのレビューを読み終わってからにして欲しいんだよね。
って事でさっそく行ってみたい。
さっそくだけど、ボクちんがゲームに求める一番の条件は体験した事のない経験をさせてくれるとゆう事です。
具体的にいろいろ挙げてみると、撃って避けるシューティングの醍醐味を教えてくれた「スペースインベーダー」、シナリオを付加する事でRPGを親しみやすい形で紹介した「ドラゴンクエスト」、甘酸っぱい高校生生活が体験できる「ときめきメモリアル」、アニメ脱衣麻雀の開祖「スーパーリアル麻雀P2」等々色々が個人差こそあれ、あるんじゃないかと思う。
こういった初体験はこうして長年ゲームをプレイしていると実に想い出深いし、貴重だった。今ではさすがにエポックメイキングなゲームは少なくなったけれど、やはり心のどこかで、また初体験したいよね。と思っているこの気持ちがせっせとゲームを買い漁ってしまう原動力になっているのかなと思う訳。
しかしゲームはもはや定量的なビジネス手法が定着するほど、計算し尽くされてきていて自由奔放な発想が具現化しにくくなっているし、それはシリーズ物の続編、リメイク、ベスト版での再リリースが多いことでも見て取れるよね。
利潤を追求するのが企業の役目とはいえ、プレイする方としてはいつか見たような・・・なんてな既視感に捕らわれることも多くて、年々ドキドキ感が目減りしているような気がしていたんだよね。
ところが、そんな常識を完全にスルーしたかのようなゲームが久しぶりに登場しました。初めて週刊ファミ通に掲載されているのを発見した瞬間、ゲーマーとしての血液が沸騰するのを禁じ得ませんでした。いや、ホンツ震えました。
それが今回紹介する「どつぼちゃん」なのです。
何よりもまず驚かされるのはキャラクターデザイン。
綾小路どつぼの育った綾小路家は没落貴族とゆう設定ですが、それにしてもこの音楽室でお馴染みのバッハさんよろしくなデザインはここ最近なかった・・・いや、過去にも見たことがありません。まさかこのご時世にこんなアナクロや悪趣味を軽々と跳躍してしまったキャラクターデザインにお目にかかれるとは思いませんでした。
こ、これは、現在のキャラゲーに対するメタ批判なのでしょうカ?
さらに設定がそんじょそこいらのゲームとは一味も二味も違っています。
綾小路家は元は貴族だった訳ですが、どつぼちゃんのお婆さんが風水的に最悪の立地条件で家を建立されたせいで、没落してしまいました。その条件とはT字路の(以下長いので略)とゆう事で風水的には考えられる限り最悪らしいのですが、ボクちんには良く分かりません。てゆうか、本作を監修している風水師の泉心先生ですが、今まで神事で金銭を稼ぐ事を良しとしていなかったお方が、何故どつぼちゃんの監修をされているのかが気になって仕方がありません。余計なお世話かと思いますが泉心先生に一体何が!?と勘ぐらずにはいられません。
それはさておき、そんな風水的に最悪の状況で育ってきた運勢最悪の女性、どつぼちゃんですが、何の間違いかようやく結婚へのパスポートを手にしました。そうです、今日は晴れの結婚式なのです。とは言ってもそこはどつぼちゃんですからして、すんなりと結婚などできよう筈もなく、艱難辛苦がどつぼちゃんを襲います。不幸に見舞われるどつぼちゃんを風水パワーを駆使して救うのが本作の目的です。
あまりのセンスオブワンダーっぷりに思わず悪寒武者震いを禁じ得ませんでした。
今までのゲームでも風水物はありましたよね。「クーロンズ・ゲート-九龍風水傳-」とか。何やら厭な雰囲気が漂ってきそうなイワクツキの作品でしたが、どつぼちゃんにはそれ以上に厭な何かを感じます。それは間違いなくゲーム史上最悪の風水のある風景に違いありません。
ってことで、何度も延期された発売日をものともせず、レッツプレイ!
なんちてオープニングが表示されるまでに、いつになく慎重になったボクちんはマニュアルなど読んでおりましたら、いきなしCDのシーク音がして、おや?と思っておりますと、何とオープニングムービーが再生され始めました。
オーゥイッツミラクー!
まさかムービーが入っているなどとゆう事を1ビットたりとも期待していなかった上に、主題歌まであるらしいとゆう事で思わずガッツポーズで喜びました・・・が、陰々鬱々しみじみと歌い上げられる、恨み辛み節の主題歌に一瞬喜んだ顔が引きつった事は言うまでもありません。
もとより覚悟はありました。何せあの「クーロンズ・ゲート」を超えそうな予感がありましたし、あのキャラクターデザインですから、ゆめゆめ油断していた訳ではありませんが、それでも予想を遙かに超えたこの先制攻撃はかなり痛いです。
いきなし手負いの獣みたくなってしまったボクちんですが、プレイを始めてみるとどつぼちゃんが結婚式のすがすがしい朝を迎えられているご様子にホッと一安心しました。
フルボイスではありませんが、キャラクターに似合わない可憐で、かつ通りの良いキャラクターボイスで、服飾の悪趣味さとは裏腹に結構可愛いなとゆうのが第一印象です。
などと好意を確認している暇もなく、いきなり災厄が降って涌いてきました。その名も「便意」。
さっそくトイレへ赴きますがちょうど断水の真っ最中で、仕方なく近くの公園のトイレへまっしぐら・・・
ち ょ っ と 待 っ た !!
ヅバーン!と壁を突き抜けて、正体不明の奇々怪々な生物がアニメーションしながら大写しになられるご様子に圧倒され、固唾を呑む事すら叶わず、しばらく茫然自失してしまいました。
ハッと我に返って、マニュアルを漁ってみますと、この奇々怪々な生物はバイオハザードで生まれた奇形生物・・・ではなく、「風ちゃん」とか命名された風水の神様とゆう設定らしいのですが、ほとんど嫌がらせ寸前の命名・デザインだけに魔法騎士レイアースの緑の人のファンに見つかったら3ミリ秒で粛正されそうなイキオイでしてボクちんちょっとハラハラしております。ま、ボクちんは青い人LOVEなので緑の人の事は他人事モードなんですがー(問題発言モード発動中)。
てゆうか、ちょっと待った!!じゃねぇですよ。
お巡りさーん、保健所職員のみなさーん!器物損壊、不法侵入の怪しい生物がいるので捕獲してくださーい!!ってなもんですよ・・・。
しかもこの生物、こちとら一刻一秒を争っているのに、「風水の基本をチェック!」とかぬかして、いきなりクイズ問題の解答を強要しやがります。どうやらこのクイズ結果の良し悪しで次のミニゲームの難易度が決定されるようで、はっきし言ってそのままトイレに走った方がいいと思いますが、そんな事ゆうとゲームになりませんので仕方なくクイズに付き合うことにしますが・・・全然判りません。てゆうか普通の人は風水の知識ナッシングだと思った。
結局5問中2問正解でミニゲームに突入です。その名も「トイレを目指せ! ~冷や汗の彼方に~」。
・・・。
・・・・・・。予想していなかった訳ではありませんが、トイレに駆け込むのがミニゲームになっているようです。どうやら地域一帯が断水に陥っていたようで、我慢メーターの安全圏を見極めて走る/歩くを使い分けながら、並いる地域住民を抜き去り一番にゴールインしなくてはなりません。
そこまではまだ無理矢理納得できるのですが、我慢メーターがマズイ事になると、顔が真っ赤に染まり、へっぴり腰になってスピードダウンする、その妙なリアル感はどうにかならないものでしょうか・・・仮にも一応ヒロインですし。
そうやって走っておりますと、やはり先程の風水クイズの結果が悪かったのでしょうか、どうにも順位を上げられません。このままでは漏れて、漏れてしまうー!助けてー、コ・ロ・サ・レ・ル・ー・ッ!!と思った瞬間漏れました。画面に大きく「も、もれたー」のロゴ付きで。
よしんばロゴ付きである所はスルーしておくにしても、効果音付きの演出はもはやヒロインとして著しいデフレかつブラックマンデーを引き起こしておられ・・・いや、もう人としてゲシュタルト崩壊すらされていらっしゃるご様子に、ボクちんまたしても茫然自失。
何といいますか、ある意味まんぼう小屋*のゲームを超えているような気がするのはボクちんだけでしょうか・・・?
それからもどつぼちゃんの苦難は続きます。
結婚指輪がなくなりそうになったり、ゴミ分別をさせられたり、ストーカーにつきまとわれたり、電車を緊急停止させるハメに陥ったり、地震が起こったり、結婚式場に着いたら着いたで、新郎を捜したり、怪獣が現れたりと、思いつく限りこれでもか、これでもかと災難が降りかかってきます。
しかし、どつぼちゃんはめげません。
どうしても結婚して新郎(只野一郎とかゆう適当な名前でいらっしゃいます)と幸せになるんだとゆうその情熱は凄いものがあります。怪獣が向かってきているのに結婚式を放棄しないどつぼちゃんに、思わずボクちんも感動してしまいました。
いろいろとマイナスポイントはある、ってゆうかマイナスポイントまみれとゆう気もしますが、このひたむきさはかなりイイんじゃないかと思うし、これは今までになかったヒロイン像なんじゃないかって思う訳。
また随所に見られる、「太陽くん・・・」「由美ちゃん・・・」のシーンで有無を言わせぬ排他的ラブラブ空間を生成していた、かの恋愛コメディ漫画「キックオフ」にも匹敵するラブラブっぷりに、ミニゲームのいささか壮絶な内容の間隙をぬって心温まれます。
ミニゲームもよく考えてみると厭な風味満載なのですが、意外にしっかり作っているのと思わず笑ってミスしてしまうくらい笑いの要素がまんべんなくちりばめられていて、結構楽しめました。
てことで、特に面白かったミニゲームを挙げてみると。
■ | 誓いの違いの言葉 いよいよ誓いの言葉の宣誓です。しかし、疲労困憊で神父さんの声が突然出なくなりました。そこでどつぼちゃんの父親が神父役をかって出るのですが、神父経験などなかったからさぁ大変。3つのキーワードで構成される誓いの言葉をルーレットで選びながら正解を的中させる訳ですが、うっかりすると「新婦どつぼは、年齢3歳 体重43tで、 闘魂である事に偽りがない 事を誓いますか?」などとゆうギャフン級の誓いの言葉を連発します。 もちろん、どつぼちゃんは「誓います」としか言えませんともさ。 |
■ | ケンカでギャフン! 新郎を大金持ちと勘違いし、略奪結婚をもくろむ女性が式場に乱入します。 これを口喧嘩で撃退するのですが、あまりの罵詈雑言っぷりにヒロインの威厳も何もあったものではありません。下ネタも満載で子供にプレイさせてはいけないような気分に浸れます。 |
そして極めつけは最終面のコレ。
■ | 地球を救え、どつぼちゃん 今までも地震や怪獣などをやり過ごした強者のどつぼちゃんですが、今度は絶体絶命の大ピンチ!それもその筈、何と巨大な隕石が地球の衝突ルートをばっちしトレースしながらやってきているから!ズイマーです、いや倒置している場合ですらないくらいマズイです。 このままでは結婚式どころではありません。てゆうか地球消滅のピンチです。 群衆が逃げまどう中、しかしどつぼちゃんは怯みません。超巨大な隕石に向かって投石で対抗します!・・・と、投石ですカ・・・? 今思うと風水の騒ぎどころでもないような気もしますが、今までの風水を使った健闘っぷりに、言うなれば風水戦士のような既視感を抱いていたボクちんはその時どつぼちゃん、その人と精神的にフュージョンしていたのかもしれません。 小石を拾っては投げ、拾っては投げ、間にさりげなく必殺ショットを含ませながら、たった独りで闘うどつぼちゃん。それをわざわざ実況する結婚式場の司会者も偉いです。アナタ、プロの中のプロですよ。 そして。そしてどつぼちゃんは世界を救い、(無事も何もないような気もしますが)無事に結婚を果たしました。 |
めでたしめでたし。
なんちて、かいつまんでみましたが、ミニゲームはいろいろと面白いし、ストーリー展開の破天荒さもドキドキものだし、逆境の中で頑張るどつぼちゃんのひたむきさはまさに島本和彦もかくや、とゆう感じです。
最初はボクちんもクソゲーのレビューが書けますよ、げへへへ。などと邪悪な気分でプレイし始めた訳ですが、終わってみると実に満足感に満ち溢れているボクちんがいたって訳で、確かにカルト作品だとは思うけれど、この面白さは他では絶対に味わえません。
古今東西、結婚をネタにした作品はさまざまなメディアで展開されてきましたが、どつぼちゃんに類するものは見たことも聞いたこともありません。
価格も4800円と安いし、もう少しの思い切りがあれば購入できる値段ですから、クソゲーマニア、カルトゲーマニアに限らず、すべからくすべてのゲームを愛する人にプレイして欲しいと思う訳。
ちなみにオールクリアすると、プレイ内容から運勢チャートが表示されます。で、ボクちんはこんな感じでした。

ゲームも楽しめるし、風水には詳しくなるし、どつぼちゃんはマジマジでお薦めだと思った。って事で。(万が一、肌に合わないときは、かかりつけのお医者様に見てもらうと変人扱いされるので要注意だぞ)
購入した・しそうな方へ。
件のミニゲームは全20種類も用意されているのですが、難易度が結構高いです。
とゆうのも操作説明が少々舌足らずで分かりにくいところがあるからです。
ホントは各面攻略を入れようかと思いましたが、そこまでする程でもないので、もし行き詰まったらBBSででもチクって頂ければ攻略方法をお教えします
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Comments:4
- ****** 21-05-08 (土) 18:28
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- ****** 21-10-30 (土) 22:18
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- ****** 21-12-19 (日) 18:36
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- ****** 22-11-18 (金) 2:30
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